アイスクリームらーめんを食す

 変わったラーメンが楽しめることで有名な菊やさんに行って参りました。
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 なかなかイイ味出した店構えです。民家の一部を店舗として使用されています。

 引き戸に貼られているのは、ビニールテープで作られたメニューの数々でして・・・修悦体を思い起こさせるような、これまたイイ味出したフォントです。
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 店外には同じくこんなものも貼ってありました。
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 未知味の拉麺とのことです。ワクワクして来ます。

 店内に入るとそのメニューの数々に圧倒されます。美術館に行ったときのように凝視してしまいました。
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 私が頼んだのはアイスクリームらーめんです。
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 冷たいしょうゆベースのスープに麺を入れ、具はチャーシュー、わかめ、メンマ、白葱、そして雪印バニラソフトの上に半熟卵を載せ青海苔を散らしたものとなっています。夏はスープに氷を浮かべるそうです。
 ちなみ隣に座っていた子供に、「そんなもの食べたらポンポン痛くなっちゃうよ~。」と言われました。さすが私、子供からは相変わらず好意を持たれるタイプです。

 同行してくれた後輩が頼んだ珈琲牛乳ラーメンです。
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 両方ともにそうなのですが作り方が丁寧でして、某マウンテンのようなものを想像していたものの、「ひょっとして結構おいしいのではないか?」と期待してしまう自分がいました。

 実際に食べてみると、食前の期待通り全く違和感なくおいしく食べられ、積極的にアイスクリームを溶かしたくらいです。
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 ごま油がアクセントとなっていまして、最後まで飽きませんでした。チャーシューは脂身のない部位でこのラーメンには良く合っており、少々不安だったわかめも全く問題がなかったです。欲を言いますと、冷たいスープであるため白葱は甘みが出ずちょっと食べにくいところを直してもらえれば・・・と思いました。
 後輩の珈琲牛乳ラーメンは生姜が効いており、こちらも全く違和感なくおいしく食べられたとのことでした。

 ゲテモノを出して安易に笑いを取ってみようというのではなく、それぞれ味を考え、おいしく食べられるラーメンを志向しているところが非常に好感持てます。

 食後に缶コーヒーを出してもらいましてそれをいただいていたら、店にいた客がたまたま私たちだけであったこともあり、大将がいろいろと話しかけてくれました。以下大将の話ピックアップです。

・アイスクリームらーめんは少年野球チームの一団が練習帰りに寄ってくれる際、酒盛りをしている大人達に対して子供達は少々つまらなかろうとアイスクリームを出していたところ、小学一年生の子に「おじさん、ラーメンにアイスクリームを入れて!」と言われ、小学一年生の子供ならではの考えだと思いつつ、アイスクリームに合うラーメンを模索してみて誕生した。
・その子が39度の熱を出して寝込んでいたとき、「何か食べたいものは?」と聞いてきたおじいさんに対し、「菊やさんのアイスクリームらーめんをとって」と頼んだのだが、おじいさんは「熱のせいで変な夢を見たのだな、かわいそうに・・・。」と当初相手にしなかった。
あまりにしつこく頼むのでおじいさんは仕方なく菊やさんに来てみると、実際に存在していてかなり驚きつつ孫のために作ってもらい持って帰ったのだが、夏の暑さとおじいさんの持ち方が悪かったせいか家に着いたときにはアイスクリームが全部溶けており、「こんなの僕の食べたかったアイスクリームらーめんじゃない!僕はもうアイスクリームらーめんは一生食べない!」と泣き出された。
・その子は現在高校生になっているのだが、アイスクリームらーめんは一生食べないという誓いどおり、菊やさんに来る時は「ラーメンとアイスクリーム」と別々に頼んでいる。

・様々なフルーツを入れた「トロピカルラーメン」を提供していたことがあるが、「フルーツは別に食べた方が確実にうまい」と思い直し提供を取りやめた。

・麺を揚げ、チキンラーメンを忠実に再現した「昔の名前で出ています」というメニューを冗談で考案し実際に提供していた。かなり評判も良くそればかり食べる人もいたが、見た目に反して非常に手間がかかるため、昼の忙しいときに注文されると店の回転が著しく悪くなり、他の客にも迷惑がかかって取りやめてしまった。
・現在提供中の「アゲヤキメン」も「昔の名前で出ています」と同じくらい手間がかかるが、開店当初からのメニューで楽しみにしてくれている人がいるので残すことにした。しかしあまり注文されないようにメニュー一覧では一番隅の見づらいところに置き(上の画像を参照)、値段も高くした。

・店頭で紹介している「青汁拉麺」「赤汁拉麺」と店内で紹介している「青色ラーメン」「赤色ラーメン」は同じものである。「汁」という言葉の響きが汚らしく感じられたため「色」に変えてしまっている。

「アルカリラーメン」はアルカリ性食品である梅肉を使ったラーメンであるが、「梅肉と言うよりもアルカリと言った方がきれいかなぁ」ということで名前を決めた。しかし客には「アルカリ電池を入れている」と冗談を言うようにしている。
・社会科見学でやってくる小学生に対し、折角来てくれたのだからとラーメンを食べさせていたら、給食が食べられなくなり(小学生が)先生に怒られてしまったようで、「かわいそうなことをした」と思った大将はそれからハーフサイズにして食べさせるようにしている。
・ある年の社会科見学で来た小学生に対し「アルカリラーメンはお客に元気を出してもらうよう電池を入れていて、これを食べたら君達も勉強をやる気が湧いてくるよ」といつもの冗談を言ったところ、「実際に入れているところを見せて」とせがまれ、やむなくラップで厳重包装をし丼に軽く浸けて子供達に提供した。
・その日の夜、「アルカリラーメンを食べたのに勉強をやる気にならない僕はどこかおかしいのでしょうか。」と小学生から相談電話がかかってきた。

・豆乳ラーメンは近所に住む女性の提案で第二次豆乳ブームの直前に作成された。女性も味の確立を手伝い、数日に渡り一日一杯ずつ試食していった。どのラーメンも時間をかけて研究し提供している。

・「やっぱりね、世の中で最初に提供しなきゃ。一番じゃないとうちはやらないことにしているよ。なぜって?他の人のを真似してもその人はかなり研究して提供していることだろうし、追いつき追い越すのが大変だからだよ。ハハハッ。」
・「たかがラーメンだからね。それでもお客さんに楽しんでもらえたらといつも思っているよ。」

 ユーモア感覚があり、サービス精神旺盛で、素晴らしいスタンスの大将にプロ意識を強く感じました。最近辛い出来事が多かった中、心温まるひと時を過ごせました。


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